Exemption畜舎建設特例法

畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律

日本の畜産業の成長・国際競争力強化に向けて、省力化機械の導入や増頭・増産等の推進が求められています。
畜産家が畜舎・堆肥舎の新築・増改築および省力化機械の導入などの事業拡大を検討する際、これまでは畜舎建築に対して一般住宅やビル並みの基準で建築基準法が適用され、畜産経営において大きな負担となっていました。
こうした状況を鑑み政府は規制緩和策を議論し、令和3年5月19日の第204回通常国会で畜舎建築特例法(畜舎等の建築等及び利用の特例に関する法律)が成立しました。
今後は「畜舎建築利用計画」の認定制度を通じて、一定の利用基準・技術基準(構造基準等)を満たして都道府県知事の認定を受けた畜舎等については、特例として建築基準法の対象から除外されます。結果として低価格での畜舎・堆肥舎の建設が可能となり、全国各地の畜産家の積極経営・業界活性化が期待されます。

01 Point法律のポイント

対象となる畜舎・堆肥舎

対象となる畜舎・堆肥舎
  • 畜舎(搾乳施設を含む)又は堆肥舎が対象
  • 畜舎又は堆肥舎に付随する保管庫(倉庫又は車庫)
  • 畜産経営に必要な貯水施設
  • 高さ8mを超える発酵槽
  • 市街化区域外・用途地域外の地域に建築
  • 高さ16m以下の平屋で居住のための居室を有さないもの
  • 建築士が設計したもの
  • 新築、増築、改築及び構造に変更を及ぼす行為を行う際に申請可能

畜舎特例法のメリット

  • 建築確認が不要になります
  • 構造等に関する技術基準が緩和されます
    利用基準を遵守することにより、構造等に関する技術基準の一部が建築基準法より緩和されます。 これにより、建築基準法で建てる畜舎に比べてコストを抑えることができます。
  • 一棟あたりの床面積3,000m²以下は技術基準の審査等が不要になります
    床面積が3,000m²以下の畜舎・堆肥舎は、敷地、構造、設備に関する技術基準についての審査が不要となります。
  • 木造の畜舎の間を渡り廊下でつなぐことで3,000m²を超えられるようになります
    木造の畜舎を渡り廊下で隔て、隔てられた畜舎の床面積をそれぞれ3,000m²以下とし、その畜舎同士の 間に畜舎の高さ分の距離を確保し、一定の利用基準を遵守することで、合計3,000m²を超えることが可能となります。
  • 周囲の建物との間に6m以上の距離を確保し、一定の利用基準を遵守することで、 建築基準法の防火基準よりも緩和された基準で倉庫や車庫を建てることができます。
    (注意)畜産経営に関係のないものを保管したり、用途変更することはできません。
  • 工事完了時は届出で済みます
    工事完了時は完了検査は不要で、届出のみで済みます。

技術基準・利用基準

畜舎は住宅や事務所等と比べて滞在時間が短いため、これを踏まえて利用を制限する基準(利用基準)が省令によって定められます。
この利用基準によって技術基準(構造等の基準)を緩和しても畜舎としての安全性を確保することが可能になります。
詳細に関しては農林水産省のページ https://www.maff.go.jp/j/chikusan/kikaku/lin/l_tiku_manage/chikusya.htmlをご確認ください。

畜舎特例法の基準

畜舎の構造、防火等に関する技術基準と、 畜舎の利用方法に関する利用基準の両方を守る必要があります。

利用基準
技術基準

倉庫・車庫の防火基準を緩和する場合
以下の追加の利用基準を遵守する必要があります。

  • 床面積が500m²以内ごとに1以上の避難口を特定する
  • 災害時の避難に支障を生じさせないよう、必要な採光を行う
  • 火気を使用しない
  • 消火器を備えるとともに、定期的な点検等により当該消火器の維持管理を適切に行う
  • 倉庫には畜産業用物資以外のもの、車庫には畜産業用車両等以外のものを保管しない
  • 畜産業用物資及び畜産業用車両を同一の畜舎等に保管する場合は、これらを間仕切壁 又は戸によって隔てて保管する
畜舎特例法による具体的な手続例
畜舎特例法による具体的な手続例